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”大正琴”の名の通り、この楽器は大正元年(1912年)に誕生しました。
大正琴の生みの親は名古屋市の大須観音の近くにあった旅館森田屋の息子森田吾郎(本名:川口仁三郎)という人でした。
当時の大須は料亭や遊廓がたくさん並ぶ名古屋一の繁華街であり、三味線や琴の音色が絶えず聞こえてくる街でした。そんな環境の中で育った彼は、音楽の才能にも恵まれ、しかも手先が器用で物づくりが得意だったことから演奏家だけでなく発明家でもありました。 |
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▲現在も賑わう名古屋大須観音境内風景 |
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▲大須観音境内にある
”大正琴発祥の地”の碑 |
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好奇心旺盛だった彼は、14歳で一絃琴や横笛を演奏し、25歳にはヨーロッパに渡り演奏活動をしていました。そんな渡航先で出会ったのがキーボタンで文字を打つタイプライターでした。当時日本にあった一絃琴や二絃琴(八雲琴)と呼ばれる楽器をベースにして、タイプライターのキーボタンを音階ボタンとして組み合わせることにより誕生した楽器が大正琴です。弦を指で押さえる代わりに、番号の付いた音階ボタンを押さえてドレミファソラシドの西洋音階が弾けるため大衆の楽器として瞬く間に普及しました。
”和・洋いずれの楽曲にも適する楽器”として発明された大正琴は、大正という時代背景にふさわしく誕生したまさに和洋折衷を取り入れた日本の楽器として今日も親しまれています。 |
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▲日本の楽器二絃琴(八雲琴)
※浜松市楽器博物館にて撮影 |
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▲ヨーロッパ製のタイプライター |
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▲タイプライターのキーのアップ画像 |
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ナルダン大正琴は、全長65cm・重さ約1.2kgとコンパクトで軽くとても手軽な楽器です。
大正琴の本体(胴)は木製で中は空洞の箱状のになっており、その中央にはギターのように音階を刻むフレットが取り付けてあります。 そしてそのフレットの上を走るように4本のメロディ弦と1本のベース弦合計5本の金属線(弦)が張られています。
この本体(胴)に音階ボタンのついた天板(譜板)を組み合わせたのが大正琴です。
この音階ボタンにはレバーが取り付けられバネで可動する構造になっており、この音階ボタンを左手で押さえることによりレバーが弦を押さえ、右手のピックでメロディ弦を弾くことにより音階が奏でられるしくみになっています。 |
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- 天板(譜板)・・・音階ボタンを取り付けた板
- 弦・・・・・・・・鉄線3本、細巻線1本、ベース弦1本が張られている。
- 駒・・・・・・・・弦を乗せる
- テールピース・・・弦の先端をを引っ掛ける
- 音響穴・・・・・・音を響鳴させる穴
- 胴体・・・・・・・音を響かせる箱
- 音階ボタン・・・・弦を押さえる鍵盤
- 糸道・・・・・・・5本の弦を通す
- 糸巻・・・・・・・弦を巻き上げて調弦する
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大正琴の音階ボタンに記されている1・2・3・4・5〜の数字は西洋音階のドレミファソラシドを表し、同じく大正琴の楽譜も数字譜で表してあるため楽譜が読めない初心者の方にも大正琴は簡単に弾くことができます。
大正琴のメロディとして弾いて頂ける音域は約2オクターブまで演奏することができます。
下の写真の赤い文字で記された数字の上に#で表記された音階ボタンは半音上がりで、ピアノで例えるなら黒鍵を表します。 |
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▲大正琴の音階ボタン |
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▲大正琴の数字譜表記 |
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大正琴の魅力は庶民にも弾きやすい親しみやすさとやはりこのコンパクトな楽器から奏でられる哀愁のある澄んだ独特の音色です。
この音色は童謡や唱歌をはじめ、邦楽・演歌・ポップス・洋楽・ジャズなど様々なジャンルの美しいメロディによくマッチし、トレモロ奏法などを取り入れて弾くとより叙情豊かな演奏ができます。
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